Posted on

人生があなたに厳しいときにも


人生があなたに厳しい時にも

皮肉にも、自然療法士、スリープドロップスの開発者カースティン・テイラーが事業の成功に至ったきっかけは、ビジネスの失敗と膨れ上がる経済危機でした。

不安で眠れなかった日々が、思わぬ成功へ

ビジネスパートナーと決裂し、その日暮らしで生きていたシングル・マザーが抱えるプレッシャーは並大抵のものではありません。将来のことが心配で、眠れない夜を幾晩過ごしたでしょう。

そんな中でカースティンは、小さなガラスの小びんの中に、自分の問題を解決する答えがあることに気づきます。

自然療法士として彼女は、人は睡眠が充分でなければ、病気も治りにくいと理解するに至り、クライアントに眠りのためのレメディー(自然療法で用いられる自然の薬)を作ってきました。

クライアントから、私の処方したスリープドロップスが大いに役立っていると言った声をたくさん聞きました。多くのクライアントが、よく眠れるようになり、朝もすっきりした気分で目覚めるのです。それまでは、それ以上のことは考えていませんでした。

彼女はそれに続く調査で、西洋社会では47パーセントの成人が睡眠トラブルを抱えているという事実を知ります。その時点で彼女は、自分の作った魔法のドロップスには、はるかに大きな市場が広がっていることに気づきました。

決意も新たに、カースティンは彼女の自宅のプリンターで印刷したラベルを貼ったスリープドロップスの広告を、ローカル新聞に載せました。広告料との採算が取れますように。。。と祈りながら。

そしてその日、電話が1日に20回なったのです。ビジネスの誕生でした。

それが2009年のことでした。その4年後には、赤ちゃん用のスリープ・レメディーを含む、4商品を一連の商品群をスリープドロップスに加えました。最初の4年間という短い期間に、ビジネスはぐんぐん成長し、年商100万NZドル(約8,000万円)を超える会社に成長し、ニュージーランド国内および海外へのスリープドロップス販売数はうなぎ登りに増えてゆきました。

請求書の山を見ながら途方に暮れていたころ

成功に至るまでの道のりは、平坦なものではありませんでした。スリープドロップスを始める少し前、共同経営者との関係が破たんし、カースティンは無一文の状態になったのです。

それは、世界的な経済不況の嵐が吹き荒れているころでした。それまで私がビジネスに注ぎこんだ全てが無になったのです。私の専門を生かせる業界での仕事は全くなく、そして私はシングルマザーでもあります。生活するだけでも厳しく、国の補助を受けなくてはなりませんでした。

必死で立ち直り、新しいビジネスを再開するまでの何年かは、カースティンとその息子ジェスパーは、「戸棚の中に何もない」ような厳しい状況の中で、家族や友達に支えられながら何とか生活していました。

請求書が来ても払えずにいたら、友達がお金を貸してくれたこともあります。息子はギターのレッスンに通ったり、武道の教室に行ったりはできませんでした。
でも私にとって非常に大切だったのは、息子が『全てうまくいっている、何も心配いらない』と感じることでした。その点私はとても上手にできたと自負しています。
息子のために、どんなことがあっても、動じない岩のようでいたかったのです。

努力が実り始める瞬間

店頭のスリープドロップス
店頭のスリープドロップス

昨年までは、スリープドロップスはクライアントに直接販売していましたが、小売店や代理店といった新たな顧客が、彼女にアプローチをかけてきました。2012年の終わりには、限定したファーマシー(ニュージーランドの薬局、ドラッグストア)に卸売するようになり、その店舗数は650店以上にも上っています。口コミ評判から広がって、会社は留まるところを知らず成長してゆきます。売上げは右肩上がりで伸びてゆくばかりです。

成功を信じて、何があっても諦めませんでした。確かに生易しい道のりではありませんでした。今やっと、努力が実り始めたのです。将来に向けて、これ以上はないほど興奮しています。

そして、スリープドロップスは世界に羽ばたいて行きました。キャセイパシフィックのパイロットにスリープロドロップスを、彼らのフライト中の仮眠時間に、トライアルで使ってもらい、大成功したこともありました。

スリープドロップス社 アワード
スリープドロップス社 アワード

また2013年テレビのドキュメンタリー番組60ミニッツで、がんと闘いながら不眠症に苦しんでいたニュージーランド人女性が、スリープドロップスとカースティンに出会い眠れるようになったことが放送されると、スリープドロップスは羽が生えたように国内の小売店、本社オフィスから出てゆきました。

2015年にはニュージーランドのビジネスアワードを授与し、AZTECデータでも国内セールス第一位のスリープ・レメディに認められました。

人を助けるビジネスに心を虜にされた

ピンクのシルクのTシャツとジーンズ、ストレートのブロンドを後ろに流しながら、カースティンはとてもリラックスして、そして落ち着いています。彼女が借りているオークランドの自宅の港を臨むダイニングに座って話している間にも、ドアのベルはひっきりなしになります。彼女や彼女のスタッフから直接スリープドロップスを買いに来るクライアントが訪れるのです。

カースティンにとってビジネスは、生きること、息をすることのようなものです。それぞれの睡眠トラブルに悩むクライアントを助け、クライアントと知り合う事は彼女にとって喜びに他なりません。地域コミュニティーの中で近所住民との結束を強く持った両親に育てられた彼女は、いつも誰かを助けてきました。

元々は弁護士志望でしたが、大学の最初の一年に失望し、海外へ飛び出し、ニュージーランドを合計で7年間離れました。

それはカースティンが日本で働いていた20幾つの時、当時のライフスタイルが健康を脅かし始めました。その時ある友人が、ビタミン、ミネラル、サプリメントを紹介してくれたのです。気分、エナジー、健康の変化を身をもって実感し、彼女は自分が何をすべきかを見つけたことを知ったのでした。

やりたいことが何なのかを見つけるまで、ずっと旅を続けようと決めていました。自分が心から愛して、残りの人生の全てをかけてやり抜く何かでなくてはなりませんでした。そして見つけた答えが、ナチュロパシー(自然療法)です。

ジェスパー(赤ちゃんの頃)
ジェスパー(赤ちゃんの頃)

彼女はニュージーランドに帰国し、自然療法士、メディカル・ハーバリスト、栄養士になる勉強を始めます。3年間のコースの途中で、息子のジェスパーを出産します。

会社が成長するに伴い、カースティンは、良いビジネスアイデアを持ったシングルマザーを助ける基金を設立したいとも考えています。

私の日本人の友達によくこう言っていました。ニュージーランドに帰ったら、自分の会社を立ち上げると。彼らはみんな大いに驚きましたよ。でもニュージーランドでは、どんなことも可能です。成功するまで止めないと固く決心し、一心不乱に働く決意と秀逸した製品やアイデアを持ち、自分自身を支え続けると決めるのです。そうすると誰かが支援していくれます。

 

やり抜き通す意志を毎日持ち続けること

仕事と生活のバランスを上手く保つためのキーは、新しいマーケットを開拓する毎に、知識と戦略を持ったパートナーを見つけることです、とカースティンは言います。

私も母親としての時間を過ごしたいのです。サッカーの試合を見に行ったり、学校の休み毎に1週間の休みを取りたいと思います。会社が急成長して手が離せないのは自覚していますが、賢く立ち回れば、仕事と生活のバランスを保てるはずです。

彼女から起業を志す人達へのアドバイスは、まず計算すること、そして無数にある起業セミナー、本の助言に従うこととのことです。

自分だけが精通しているニッチな分野を見つけること。何よりも大切なのは、自分のビジネスが自分の心を虜にするものであることです。

カースティンは、自分の製品が優れたものであることを知っています。そして次々出来する困難に真正面から立ち向かい、決して諦めません。

強い信念を持つのです。それは一度だけ自覚したらいいものではありません。何よりも強い信念を、毎日継続して持ち続けるのです。

「でも勘違いしないでください。私は自己犠牲が好きなわけではありません。自家製の超豪華ヨットの上でもばっちりサマになりますよ」と笑う。

「私はどちらも欲しいのです。極上の暮らしも欲しいし、人々の生活を良いものにする素晴らしい製品を作りたいのです。それによってお金が入ってくるなら、それは素敵なことでしょう」

以上は2013年に、ニュージーランドの雑誌Nextに掲載されたカースティンへのインタビューをまとめたものです。